ハシバ木の家

リビングとダイニングを分けず、家族の憩いのスペースを凝縮した。親子の一体感があるくつろぎが感じられそう。
勾配をもたせた大きな袖壁が、屋根の傾斜と合わせて都会的でシャープな印象。
子供部屋の障子を開けると吹き抜けを通じて1階のリビングとつながる。
キッチンカウンターのニッチにつくった棚は、今は愛娘の絵本棚に。年を経たらまた違う使い方も考えられる。

奥様が選んだキッチンは、デザインも機能も抜群。クッキングヒーターの前にあしらった白のモザイクタイルがチャーミング。

白をメインカラーにデザインもシンプルで清潔感あふれる洗面所。

ちゃぶ台というのは、ほんとに理にかなった道具だ。あの丸を囲むと、自然と会話が弾む。 座る人数を限らないし、上座下座がなくて肩も張らない。食卓にも子どもの勉強机にもなる。たたんでしまえる。その佇まいは、簡素でいて美しい。
この家で感じる自由さとくつろぎは、ちゃぶ台のそれに似ている。考え抜かれた機能とデザインが、何とも言えぬ落ち着きをもたらしてくれる。 それでいて、派手に威張ったふうに見えないのがいい。つまり、日常の上質な楽しみ方を知っている家と言えばいいだろうか。
借家住まいをしていたM夫妻が新築を考えたとき、基本設計を奥様の叔父さんにお願いした。 できるだけシンプルなハコで、和モダンな住まいにしたい。椅子に腰掛ける暮らしより、床に座るスタイルがいい。 無垢材などナチュラルな素材にはこだわりたい。大きな窓からたっぷり光が差す家がいい。 そうした希望を聞きながら、「つくりつけの家具などは最小限にするなど、最初からキッチリつくり込み過ぎない方がいい。 暮らし始めてから自分たちの形にしていくのが住まいだから」と設計士の叔父さんは言って、この家をデザインしてくれた。

リビングとの間の障子を閉めれば、純粋な和の空間になる。欄間部分も障子なのが新鮮で気持ちがいい。

主寝室の東側の窓は横長で、部屋に広がりを感じさせるとともに、朝日を取り入れながら、外の視線も気にせずに済む。

ハシバ木の家を選んだのは、ホームページを見ると、まさに自由設計の見本のように、 さまざまタイプの家があって、自分たちのイメージをかなえられそうだったから。スタッフの人柄も気に入った。
1階にLDKと和室、2階に主寝室と子供部屋という一般的な間取りながら、随所にこだわりを見せる。 外観の大きな袖壁はこの家を象徴するデザインだ。道路側からの視線を遮りながら、南に面した窓にたっぷりの光を入れる。 バルコニーの手すりも既成品でなくオリジナル。
中に入ると、外観の斬新さとはひと味違って、和のくつろぎをすっきりアレンジしている。 リビングとダイニングは分けないで、家族はほとんどの時間をここで過ごす。カーテンの代わりに障子を入れたことで、 縦横のラインが美しく映える。雪見障子だから隣家の目を気にすることなく、光の調節もできる。 床は厚みのある三層構造で、表面のナラ材の木目が美しい。ドアはタモの無垢材を使ったもの。 珪藻土塗りの壁との相性もいい。派手さはないが素材選びは本物志向だ。
キッチンは、住宅設備機器を扱う会社にお勤めの奥様の目で選んだ。使い勝手も見た目も秀逸。 実は、住まいづくりで夫妻が最もこだわったポイントもここで、「デザインと機能のバランスはずっと気にしていました」と話す。
M夫妻はこれから庭木選びを始めるのだとか。完成形じゃない家を楽しむ自由と豊かさはこれから先も続いていく。

敷地面積 182.75m2(55.28坪)
延床面積 92.74m2(28.05坪)
1F面積 57.96m2(17.53坪)
2F面積 34.78m2(10.52坪)
工法 木造軸組工法
基礎 ベタ基礎(地中梁方式)
構造材 柱/ホワイトウッド集成材3.5寸角(和室:ヒノキ張り集成材4寸角)
梁/レッドウッド集成材
土台/ヒバ集成材
断熱材 屋根面/水発泡ウレタン150㎜
外壁面/水発泡ウレタン75㎜
玄関基礎周り・土間下/押出ポリエチレンフォーム25㎜
屋根材 1階床下/ポリスチレンフォーム 3種b60㎜
主な外装仕上げ 屋根/アルミ亜鉛メッキ鋼鈑葺
外壁/アクリル樹脂系塗料コテ仕上げ(マジックコート クシ引き)
主な内装仕上げ 天井/ハイクリンボード下地エマルジョンペイント、一部珪藻土ビニールクロス貼り
壁/ハイクリンボード下地珪藻土塗り、一部珪藻土ビニールクロス貼り
床/ナラ材挽き板三層幅広フローリング(オイル仕上げ)
玄関床/300角タイル張り
開口部 アルミ・樹脂複合Low-E複層ガラスサッシ
キッチン LIXIL シエラ12
キッチン熱源 IHクッキングヒーター
バスルーム LIXIL ラ・バステイスト
給湯の種類 エコキュート
暖房の種類 エアコンディショナー

打ち合わせ時間をたっぷりとっていただいたおかげで、自分たちのコンセプトをじっくり煮詰め、かたちにすることができました。南側の隣家が近く、日当たりと視線が気になっていましたが、一部吹き抜けにしたり雪見障子にすることで解消できました。