VOICE 06

父と祖父が託してくれたもの

  • 上田市H邸 ご家族2人

農家として歩み始める息子に
「かっこえぇ」とうなる
家を残してあげたい

普段は若い夫婦が二人で暮らす住まいに、やはり県内に住む両親が時折こうして訪ねてきます。
場所は上田市の南西部、南に面した緩やかな斜面の裾にあり、キッチンの窓からは、その斜面にブドウとナッツの畑が広がるのを望めます。どちらもHさんが栽培を始めたものです。彼は農家として、さらにワイン醸造家として歩み始めようとしています。
「こっちで一緒にワインづくりをしないか」。そう持ちかけたのは北海道に暮らす祖父でした。その言葉を頼みに農業が学べるかの地の大学に進んだHさんでしたが、コロナ禍で実習もままならず、当の祖父は癌を患い北海道を離れてしまいます。
手を差し伸べてくれたのは父でした。上田市に土壌環境を大切にしながらナチュラルなワインづくりに挑む醸造家がいると教え、「まずここで修業しろ」と言ってくれました。そればかりか、ブドウづくりに適した土地を自らの足で探し求め、畑と自宅は近い方がいいと、この家を建てる資金協力をしたのです。実はその時、父も末期癌におかされていました。
「息子が『かっこえぇ』とうなる家に」と父はHASHIBA KINOIEに住まいづくりを託します。思いの丈を受け止めたのは、自身も早くに親を亡くした設計士です。そして、「かっこえぇ」を詰め込んだこの家ができました。

「渋いっすわ」と父、
「いてて落ち着く」と息子。
これから始まるワインづくり

地域の人とのつながりを大切にしたいから、周辺の景観を壊さないようにと父子から要望があり、外観は後退色にしつつ、表側は明るい色の木を入れて黒の主張を緩和させました。心憎いのはそのバランスです。屋根の形状でも、モダンなかっこよさとパッシブデザインの機能をぎりぎりで調和させました。
屋内は玄関を入って右側がLDK、左側が寝室などプライベートスペースです。全体に薄目のグレーの塗りと少し濃い目の木部色でまとめ、シンプルかつ上品でありながら、水周りや家具の風合い、リビングとガラスで隔てられたバイクガレージに、男前な無骨さが匂います。
ダイニングの天井とリビングのそれは高さを変えてあり、ダイニングではその低さが一緒にいる人との親密さを、リビングではその高さが開放感をもたらすことでしょう。手前から奥へと誘われるようにのびていく視線も爽快です。
家ができて「渋いっすわ」と言った父。「かっこえぇのに、いてて落ち着く」と応えた息子。父の「仕事っちゅうもんは、人と社会に役立つから存在する」との言葉をHさんはかみしめながら、「人と人が笑い合いながら飲めるワインをつくりたい」と語ってくれました。

OWNER'S VOICE

  • Q1

    家づくりで一番大切にしたことは?

    ゲストを迎えパーティを楽しみながら、家族の将来も見据えてくつろげる住まい。

  • Q2

    こうしておいてよかった、と思ったことは?

    薪ストーブの導入。バイクガレージの設置。内装のイメージ。キッチンの窓からの眺め。

  • Q3

    HASHIBA KINOIEに頼んでよかったことは?

    設計の小松さんに任せられたこと。施工担当の方の、建てた後も含めた対応の良さ。

PLAN

PLAN 図面 PLAN 図面

DATA

  • 敷地面積

    785.84㎡

    (237.24坪)

  • 延床面積

    157.75㎡

    (47.62坪)

  • 1F面積

    138.66㎡

    (41.86坪)

  • ガレージ面積

    19.09㎡

    (5.76坪)

  • デッキ面積

    19.40㎡

    (5.86坪)

工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎 構造材/柱:ホワイトウッド、梁:米マツ、土台:ヒノキ 断熱材/天井:GreenAirFoam180㎜、壁:GreenAirFoam85㎜、基礎:立ち上がり:GreenEcoFoam90㎜・スラブ上:GreenEcoFoam45㎜ 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板、外壁:IGサイディング・福杉 主な内装仕上げ/天井:EP塗装・ホワイトオーク、壁:シルタッチ・磁器質タイル、床:天然木複合合板フローリング・複合ビニールタイル 開口部/アルミ樹脂複合三層ガラスサッシ・木製三層ガラスサッシ キッチン/クリナップ STEDIA、食洗機ミーレ キッチン熱源/IHクッキングヒーター バスルーム/TOTO シンラ 暖房の種類/床下エアコン・薪ストーブ UA値/0.40