VOICE 02
思い焦がれたふるさとで暮らし直す家
- 松本市A様邸 ご家族6人
忘れがたい生家の古材に
いまひとたびの命を与える家づくり
ふるさとをイメージするとき、最も濃く強く焼き付いているのは、自分が生まれた家かもしれません。食卓に並んだ家族の顔や料理の匂い、庭の草木たち、自分の部屋から見える風景、夕暮れ帰ったときの家の佇まい、それらと一緒にたくさん思い出があることでしょう。
ふだん神戸に暮らすAさんにも、そんな生家が松本にありました。5人兄弟の末っ子として18歳まで過ごしたわが家です。ご両親亡き後、一番上のお兄さんが管理されていましたが、ご病気を患い、期せずしてAさんが家を継ぐこととなりました。
ご実家は土地の旧家で、茅葺き屋根の母屋のほか離れが幾棟も軒を連ねていましたが、長い時を経て、傷みも目立ちました。郷愁を誘う土蔵だけ残し、他は壊そうと一度は心に決めます。
それでも断ち切れぬ思いを抱えふるさとを訪れたAさんは、 最近新築したという幼なじみの家に招待されました。驚いたことに、彼の家に足を踏み入れたとたん、子供時代の記憶が次々蘇ってきたのです。Aさんはそこで古材を活用する住まいづくりと、その再生を手がけたHASHIBA KINOIEの存在を知りました。
奥様が「夏は涼しいところで過ごしたい」と言ったのも背中を押しました。生家の柱や梁、建具を使って、もう一度ふるさとで暮らそう。Aさんの住まいづくりが始まりました。
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周囲は静かな山里。母屋の隣には、やはりHASHIBA KINOIEにより化粧直しした土蔵がある。
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縁側に腰掛けるご夫妻。シンボルツリーの楓は、和室やリビング・ダイニング、土間、そして浴室からも目に入る。
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曾祖母の嫁入り道具だった箪笥をきれいに手入れし直して座敷に置いた。雪見障子から覗く土蔵のなまこ壁が美しい。
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土間の薪ストーブがメイン暖房。衝立も生家にあったものを活用した。
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生家の古材を最大限活用して、ふるさとに家を建て直した。初夏から晩秋までを過ごすわが家だ。
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広縁の板は、生家の縁側に張っていたものを磨き直して再利用した。
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襖と障子を開け放った夏の座敷は清々しい。山からの風が送ってくる緑の匂いに包まれる特等席。
夏座敷に大の字になり
山からの風や庭の緑とひとつになる
ケヤキの大黒柱にナラの小黒柱、帯戸をはじめ、欄間や框も生家の古材を活用しています。前の家の縁側で床に使っていたケヤキは磨き直して広縁の縁甲板として張りました。やはり再利用した堂々たる丸太梁に電気配線をとめている碍子は、電気屋の心意気であつらえたもの。これも懐かしい記憶を呼び覚ます貴重な小物です。家具は曾祖母のお嫁入り道具だった箪笥の他にも幾竿か持ち込みました。
樹齢数十年の楓はこの家のシンボルツリーです。ダイニングから薪ストーブのある土間、石畳のテラスへと階段状に低くなり、正面には楓の若葉が輝いて、その緑陰さえ部屋のよう。
敷地には筍も生え、タラの芽も採れ、奥の湿地では花菖蒲がこれから花をつけ、夜にはホタルも飛び交うそうです。「座敷で大の字に寝て、外を眺めるのが最高の幸せ」とAさんは言います。きっとそれは、昔から慣れ親しんだ風や緑とひとつになる思いがするからでしょう。
冬の間は神戸で暮らす夫妻の生活スタイルを考慮して、太陽熱利用システム「びおソーラー」を採用し、メンテナンスを容易にしています。
土蔵の化粧直しも済み、Aさんが遠きにありて思ったわが家の時間がまた、動き出しました。
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ダイニングテーブルは囲炉裏付きで、子や孫たちが遊びにきたときに大活躍する。
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時の経過の色をまとい、太鼓梁は吹き抜けで圧倒的な存在感を示す。床など新しい材は次第にこれに馴染んでいくことだろう。
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玄関を入って正面の大黒柱、帯戸、上框、下足棚、奥に見える小黒柱はいずれも生家の古材を利用したもの。
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2階は吹き抜けを挟んで両側に2室を設けた。正面は主寝室。
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梁に這わせた電気配線をまとめるのは、今では見られることの少なくなった碍子。こんなところにもHASHIBA KINOIEのこだわりが表れている。
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家の前に見える緑は山も含め所有地で、山里暮らしを満喫できる。キジや鹿、猪、オコジョも顔を見せ、遊びに来た孫たちは「動物園みたい」と喜んだ。
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キッチンの手前にあるのは「びおソーラー」のダクト。夏は夜間の冷気を利用した冷風を、冬は屋根で集めた太陽熱を屋内に循環させる。
OWNER'S VOICEオーナー様の声
- Q1
家づくりで一番大切にしたことは?
子ども時代を過ごしたわが家の思い出をできるだけ詰め込んだ家を、このふるさとの同じ敷地につくること。
- Q2
こうしておいてよかった、と思ったことは?
この家の完成を兄弟や子や孫も喜んでくれたこと。若葉も紅葉も美しい楓を、いろんな場所から楽しめること。
- Q3
HASHIBA KINOIEに頼んでよかったことは?
こちらが予想していた以上にたくさんの生家の古材を再利用してくれたこと。その熱意ある丁寧な仕事振り。
PLAN
DATA
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敷地面積
1268.03㎡
(382.81坪)
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延床面積
149.49㎡
(45.13坪)
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1F面積
103.95㎡
(31.38坪)
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2F面積
45.54㎡
(13.75坪)
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デッキ面積
工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎(地中梁方式) 構造材/柱(大壁):ホワイトウッド集成材4寸角、梁:米マツ材、土台:ヒバ集成材4寸角 断熱材/屋根面:水発泡ウレタン(現場発泡)150㎜、外壁面:水発泡ウレタン(現場発泡)75㎜、基礎内部・耐圧盤上部:硬質発泡ウレタン38㎜ 主な外装仕上げ/屋根:アルミ亜鉛メッキ鋼板縦葺き、外壁:窯業系サイディング、ポーチ・下屋:山砂タタキ(洗い出し+割石埋め込み) 主な内装仕上げ/天井:ハイクリンボード一部ジョリパット吹き付け・スギ柾合板竿縁天井、壁:ハイクリンボード一部ジョリパット吹き付け・ジュラク塗り、床:ナラ材無垢フローリング 開口部/アルミ・樹脂複合Low-E複層ガラスサッシ 一部シャッター付き キッチン/クリナップ クリンレディー キッチン熱源/IHクッキングヒーター バスルーム/TOTO サザナHG 給湯の種類/エコキュート 暖房の種類/薪ストーブ、びおソーラー、エアコン
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このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.33より転載しています。 こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。